エルネア王国史〜プレイ日記〜

スマホアプリ『ワールドネバーランド・エルネア王国の日々』のプレイ日記です。ジェイソン国在住。年代明記・ネタバレ配慮ほぼ無し。スマホからの投稿です。

4代目(27) 両親の死、新王戴冠

4代目

【王国暦230年③】
230年20日
朝1刻。父王ラインハルトが危篤状態となりました。
報せを受けて、わたくしは王家の居室へと走ります。
この日は星の日。暗闇の中で、幾つもの燐光がゆらゆらと揺らめいています。


お父様はーー? え、神殿に行った?


お父様は星の日の祈りに出席されていました。不調を微塵も感じさせない御立派な態度で、儀式に臨まれています。

お元気そうではあるけれど、よく見ればわかる。あれは化粧の力。紅で顔色を明るく見せているんだわ。

気力で持ち堪えていたのでしょう。儀式を終えて控室に入った途端、お父様は膝から崩れました。

「陛下っ!」

床に落ちる寸前に神官ラモンが抱き抱えます。お父様は意識を失い、そのまま城へと運ばれました。


◇◇◇◇◇


夜1刻。お父様がガノスに旅立とうとしています。
お母様、叔父様叔母様、兄弟たち。枕元に家族が集まります。久方ぶりに皆が揃ったのが父の臨終の時だなんて。

昏睡状態だったお父様が、ふと意識を取り戻されました。
「......みんな... 来てくれたんですね...」
一人一人に目をやり、最後の言葉をかけていきます。

長兄ジークには王としての心得を、叔父・叔母には引き続き王の後見を、兄弟たちへは近衛とそれを目指す者の心構えを。


そして、わたくしにはーー。

エヴァさん... 昔、私が水源の滝で言ったことを覚えていますか...?」

わたくしは、目に涙を溜めて肯きます。

「......死んだら終わりではないんですよ。私の命も夢もちゃんと貴女たちが継いでいる。バーン君と仲良く... 命を繋いでいきなさい。......いつまでも見守っていますから...」


蒼白い顔で微笑むお父様は、透き通るような美しさです。最後にお母様を優しく見つめて仰いました。

「オーレリーさん、今までありがとう。貴女と一緒に生きてこれて......本当に良かった...。先にガノスで待っています。来世でも...また一緒に...」

そこまで言って、お父様は瞼を閉じられました。


残された者の幸せを祈り、お父様は遠く旅立たれてしまったのです。


◇◇◇◇◇◇◇


230年21日
翌日のシズニ神殿。王の葬儀がしめやかに行われます。

騎士隊長を歴任し龍騎士をも勤めた父王。紛れもなく王国最強の武人であり、国民の心の支えでもありました。
これからの王国は兄ジークを要として、わたくしたち藩屏が支えていかねばなりません。


葬儀が終わると、すぐに兄の戴冠式が行われます。
「オレたちには、親の死を悲しむ時間も与えられないんだな......」
兄が哀しげに呟きました。

悲しみを圧し殺して、わたくしたちは式に臨みます。
「ーーそれでいい。王たる者、国民の前では常に毅然としていなければならない」
どこからか父の言葉が響いてきます。

神々への誓約を済ませ、兄ジークが至尊の冠を頂きました。

今、新しい王が誕生したのです。


◇◇◇◇◇


王の交代に伴って、居室の引越しが行われました。母オーレリーはそのまま居室に住まい、兄ジーク一家が城下通りから居室住まいへ。弟ビッテンが王族の資格を喪って居室から噴水通りへ転居となります。

「......なんかこう... 親父が亡くなった途端に追い出されて、用無し扱いされたみたいで辛いな」
「......仕方ないわよ。そういう決まりなんだから」
ビッテンがボヤきます。わたくしは荷物を箱に詰めながら宥めました。

「環境が変わって... お袋は大丈夫だろうか」
「見た感じ『どん底』ではないから大丈夫かと......」
「......だから逆に心配なんだよ。親父を亡くして、お袋が『どん底』じゃないなんて......おかしいだろ?」


◇◇◇◇◇◇◇

230年22日
ビッテンの心配は当たっていたのでしょう。翌日、母オーレリーが危篤状態に陥りました。

そんな... お父様が亡くなったばかりだというのに、お母様まで。

「明日は貴女の結婚式ですもの...。出席しないと...」
お母様はそう仰いますが、迫り来る死は隠しようがありません。

肩に纏わりつく黒天使が恨めしい。わたくしのことではお母様に大変な心労をおかけした。式を見て貰って、安心して頂きたかったのに。

夜1刻。ガノスからの迎えがやってきました。

「......エヴァ...ごめんなさい。結婚式には出られないけれど... 貴女の幸せをいつもいつも祈っているわ...」


嫌! 行かないで! わたくしを置いて行かないで!


母は柔らかな笑みを浮かべて、わたくしを諭します。

「......お父様も言ったでしょう。死は終わりじゃないって...。 時の輪が重なるところできっとまた会えるから。...それに...貴女は一人じゃない...。 .........あぁ、早く行かないと... ラインハルトが迎えに来て......」

微笑みを浮かべたまま、母は静かに息を引き取りました。


◇◇◇◇◇


よく晴れた秋の夜。美しい月が夜空を明るく照らしています。
月にはガノスへの入り口があると言われます。それが本当ならば、父や母は今頃どの辺りにいるのでしょうか。

暗闇の中から蒼白い燐光が2つ、ふわりふわりとこちらに向かって飛んで来ます。これはワフ虫? でも、星の日一日きりしか生きられないはずなのに。

2つの光はわたくしの周りを一周すると、月に向かってゆっくり登って行きました。


「いつも見守っているからーー」
「ーー幸せになってね」


お父様、お母様の声で、そう聞こえたような気がしました。